いじめに対する内容証明

いじめに関する内容証明についてご紹介します。

 

関わりたくない学校側

もし、お子さんが「いじめ」られていたら、どうするでしょうか? 学校へ相談する、ということがほとんどだと思います。それで解決すればいいのですが、残念ながら、ニュースなどでも報じられているように、すべての学校や教師が真摯に対応してくれるとは、限りません。実際、いじめられていた子供が自ら命を絶った事件などでは、その後、学校側が「いじめの存在を把握していなかった」というコメントの残すことが珍しくありません。

2015年11月に、札幌市内の中学校にて、いじめが原因で転校した件のニュースが全国ニュースで報じられました。この校長のコメントが、本当によく現状を表していると思います。

「担任はふざけているのだと思い、いじめだと考えなかった。」

半年間もの間、シャープペンシルを刺されるなどの悪質ないじめがあったにも関わらずです。後述しますが、当事務所にも、LINEで『死ね』と数え切れないくらい送られたり、殴られて病院で受診するなどのいじめを受けた中学生の親からの相談がありました。内容証明を送ったことで解決していて、大事にはなっていないため教育委員会などにも報告されていないかもしれませんが、このときも学校側の対応はひどいものでした…。

いじめを認めない加害児童の親

加害児童の親へ、子供に言い聞かせるよう相談しても、『子供のしたことだから…』『うちの子供がそんなことをするはずがない!』という理由で、なにも改善しない場合があります。

子供だから警察も動きにくい

例えば、殴られたとか蹴られた場合、それが大人なら、立派な犯罪ですし、警察に被害届を出せば、ある程度、解決に近づくと思います。しかし、子供のすることは警察も介入しにくいようです。

もちろん、入院するくらいの怪我などは別ですが、「叩かれた」 「悪口を言われた」 「無視された」程度では警察も積極的になにかするのは難しいでしょう。このことが、『子供のしたことだから』 という考えに拍車を掛けています。もっと言えば、『子供だから許される』 と考える親もいるかもしれません。

いじめ対策は、学校側の義務

学校側は、いじめを防止、解決する法的な義務があります。

いじめ防止対策推進法

(学校及び学校の教職員の責務)
第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

このように、現在ではいじめに対して、しっかり法律で明文化されています。

例えば、学校外で起きたことでも、

同第三条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

学校の外で起きたことであっても、学校や教員側は無関係ではないのです。しかし、実際に「放課後のことまで学校に言われても…」と先生に言われた、という相談がありました。

また、いじめが解決しないなら、加害児童を出席停止にする可能性も明記されています。

(出席停止制度の適切な運用等)
第二十六条 市町村の教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して学校教育法第三十五条第一項(同法第四十九条において準用する場合を含む。)の規定に基づき当該児童等の出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとする。

他にもインターネットのいじめに対しても

(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進)
第十九条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえて、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、及び効果的に対処することができるよう、これらの者に対し、必要な啓発活動を行うものとする。

と明記されています。しかし、実際に学校側が対応してくれるとは限りません。

個人情報保護を理由に、なにもしない学校

実際の相談です。学校に相談しても何も改善しないため、いじめ加害者の親と連絡をしようと思い、学校側へその連絡先を聞いても、『個人情報なので教えられない』と言われてしまうそうです。

子供がいじめが原因で、登校拒否になっているにも関わらず、です。『では、事情を説明して、住所を教えていいか○○君の親に聞いて貰えますか?』とお願いしたところ、『それも無理』と言われてしまいました。『無理』な理由は教えて貰えませんでした。

確かに、勝手に住所を教えるのは問題があるかもしれません。ただ、他の方法を考えるなど、解決のために協力しようという姿勢がまったくないことに愕然としたそうです。

もう、とぼけさせない

当然、学校側も上記のような法令は知っています。しかし、わざわざ保護者側に親切に教えてくれるか?というと、そうではありません。こちらから指摘しないと、学校側から具体的な改善案を提示しないかもしれません。

学校側が信用できない場合は、話し合いの内容を、文書として残すといいそうです。ニュースの件のように、『いじめだと思わなかった』『知らなかった』と後から言われないようにするためと、それ自体がけん制になるためです。

・何年何月何日の話し合いで、こういう話をした

・担任の先生は当事者から事実関係を聞き取り、○月○日までに報告をくれることになった

・教頭先生は○月○日までに当事者の親へ連絡してくれることになった

・それでもいじめが改善しないようであれば、教育委員会に報告することになった

などと文書にして、学校側にも確認してもらいましょう。

もし、いじめが改善しない場合、教育委員会、市町村長などにも相談を検討しましょう。現状、学校側に“お願い”する際、ほとんどは口約束で、「誠心誠意対応します」「速やかに対応します」など、抽象的な話しかできず、ズルズルと時間だけが経過してしまうことがあります。

大切なことは、知っていること

もしかすると、学校に対応をお願いしても改善しない場合、転校した方が早いかもしれません。ただ、ここで大切なことは、実際に行動に移すかどうか、ではなく、『そういう手段がある』ということを知っておくことです。

例えば、いじめの相談をしても教員が 『子供同士の問題で~』なんて言い出したら、『この先生、大丈夫かな・・・ 』と感じてください。学校側の対応に不満がある場合、教育委員会などにも相談できることを知っておいてください。

また、なにより大切で難しいことは、子供からいじめの事実を聞くことです。いじめはとてもナイーブな問題なので、学校に行けなくなるまで黙っていることも珍しくありません。

いじめと内容証明

いじめの解決手段として、内容証明を送る、ということもあります。このとき「加害者の保護者に送る」「学校や教育委員会、市長宛に送る」の2パターンがあります。

加害者の保護者に送る

学校側が積極的に関与しない場合、加害児童の親がいじめのことをまったく知らない、というケースがあります。こうした場合、加害児童の自宅宛に内容証明を送ることで、親に知るところとなり、問題の大きさを知って解決することがあります。ただ、住所を知ることができるか、送って関係が悪化しないか、などの懸念もあります。

学校や教育委員会、市長宛に送る

担任の態度や積極性が問題の場合、学校や教育委員会に相談する、という手段もあるかもしれません。ただ、現実には内容証明で送る前に、電話や面会で相談した方が早いでしょう。

 

実際に内容証明を送ったケース

実際にいじめの問題で内容証明を送ったケースをご紹介します。(守秘義務があるので脚色しています。フィクションです)

東京から中学生の子供がいじめられているという相談でした。息子さんが学校でいじめを受け、登校拒否気味になってしまったそうです。担任に相談したところ「本人(加害生徒)はいじめているつもりはない」「子供のことに教師や親が口出しするのはどうかと思う」「放課後のことまで知らない」「よくあることなので様子を見てはどうか」「本人(被害生徒)の気にしすぎではないか」と言われ、まったく信用できなかったそうです。

次に学校側、教頭先生に相談したそうです。しかし、「担任教師も若いなりに頑張っているので長い目で見て欲しい」「授業中以外はクラスにいるわけではないので、休み時間や放課後のことは言われても困る」「こういうことは生徒同士で解決した方がいい」と言われたそうです。

学校側に、加害生徒の親と話し合いたいと言っても断られ、連絡先や住所を教えて欲しいと言っても断られたそうです。学校側はまったく信用できないと感じたそうです。

学校側がなにもしてくれないので、仕方なく加害生徒たちの自宅に内容証明を送ることにしました。住所は同じ学区なので、どうにか調べることができたそうです。内容としては、いじめの詳細、今後もいじめが続いた場合の対処などです。

内容証明を受け取って、ほとんどの親はすぐに謝罪にきたそうです。いじめを主導していた生徒の親は学校側に相談(クレーム)したそうです。すぐに学校側から連絡がきたそうです。そこで教頭に言われたことは「勝手にこういうことをされては困る」「おおごとにして、困るのはあなたのお子さんじゃないですか」「私を困らせてなにがしたいんですか?」だそうです。心底、ムカついたそうです。

いじめをした側の親が子供に「あの子とは関わるな」と強く言ったらしく、その後は無視されたものの、暴力などのいじめはなくなったそうです。結局、学校側はなにもしれくれなかったそうです。


経験上、いじめの件で内容証明を送っても嫌な気持ちになることが多いと感じます。めんどくさい親、という扱いになります。そういう学校はなにをしても、そんな感じです。

 

いじめの問題は、まずお近くの専門家に相談されることをオススメします。根気強く、学校側と話すのも良いかもしれません。残念ながら、当事務所ではお役に立てることは少ないかと思います…。

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